【前提】不動産投資は「規模」と「ATCF」で決まる
先日、滝島Gメンの動画を見て改めて感じたことがあります。新築木造アパート投資は“誰でもできる”わけではありません。小規模で始めて運営が破綻するケースは後を絶ちません。
本記事では、1級FP技能士の視点から「不動産投資で生活できるか」を整理します。大事なのは 規模(総資産) と ATCF(税引後キャッシュフロー) です。
◆ 年収1,000万円レベルの生活なら 6〜10億円規模が必要
生活水準によりますが、年収約1,000万円の生活を不動産収入だけでまかなうには、6億〜10億円程度の資産規模 を想定するのが現実的です。これは、以下のリスク要因を織り込んだうえでの数値です。
- 空室リスク
- 長期修繕費
- 税金・金利変動
- 運営コストと流動性
ポイント:不動産投資は“投資”であると同時に“経営”です。規模が小さいままだと、単年度の不運で収益が吹き飛びます。
◆ 不動産投資は経営である — 必要な3つの力
規模を持っていても、経営力がなければジリ貧になります。特に必要なのは次の3点です。
1) 税制を理解しATCFを最大化する力
法人か個人か、減価償却の戦略、経費計上のタイミングなど。税制を味方につけられなければ、見かけ上の利益が現金として残りません。
2) 建物保全の実務力
適切な修繕計画、設備更新、入居満足度維持が長期稼働の鍵です。保全が弱いと資産価値は短期間で毀損します。
3) 満室を作るマーケティング力
募集戦略・家賃設定・不動産会社との連携。満室は“運”ではなく仕組みで作ります。
◆ 公務員が失敗しやすい理由(特に注意)
よくあるケース:年収700万円の公務員が新築アパートを一棟買う。ここで規模拡大に失敗すると、その後の展開が極めて厳しくなります。主な理由は以下。
- 副業禁止規定の存在(名義・法人設計が必要)
- 金融機関の評価や借入条件の制約
- 配偶者名義や資産管理法人などの代替手段の設計が必須
◆ 実践ステップ(現実的な道筋)
- 座学で基礎を固める(税制・法務・資金繰り)
- 少額または小規模で実戦経験を積む(市場の肌感を得る)
- ATCFを意識した物件の選定・法人設計を行う
- 保全計画と満室戦略を標準化する
- 規模拡大は段階的に、常に資金と税務の見直しを入れる
◆ マインドセット — 自分で考える投資家になれ
最も失敗する人は「誰かに依存する人」です。業者やコンサルの言うことを盲信してはいけません。投資は自己責任。学び続ける姿勢と、冷静な判断力が不可欠です。
◆ まとめと次のアクション
不動産投資で生活することは可能です。しかしそれは“ロマン”ではなく、事業としての不動産経営 を構築できた場合に限ります。6〜10億円という数字は目安であり、重要なのはATCFを残す設計と長期的な保全体制です。
おすすめ書籍
『不動産投資 失敗の法則』 — 投資の地雷と避け方が学べます。