不動産投資だけで生活できるのか? — 6〜10億円規模とATCF戦略の現実

公開日: 2025年09月18日 | テーマ: 不動産投資 | 著者: 1級FP技能士
不動産投資で生活
結論:可能。ただし、〈6〜10億円規模〉を前提にした事業的な戦略とATCF(税引後キャッシュフロー)最大化が必要です。

【前提】不動産投資は「規模」と「ATCF」で決まる

先日、滝島Gメンの動画を見て改めて感じたことがあります。新築木造アパート投資は“誰でもできる”わけではありません。小規模で始めて運営が破綻するケースは後を絶ちません。

本記事では、1級FP技能士の視点から「不動産投資で生活できるか」を整理します。大事なのは 規模(総資産)ATCF(税引後キャッシュフロー) です。

◆ 年収1,000万円レベルの生活なら 6〜10億円規模が必要

生活水準によりますが、年収約1,000万円の生活を不動産収入だけでまかなうには、6億〜10億円程度の資産規模 を想定するのが現実的です。これは、以下のリスク要因を織り込んだうえでの数値です。

ポイント:不動産投資は“投資”であると同時に“経営”です。規模が小さいままだと、単年度の不運で収益が吹き飛びます。

◆ 不動産投資は経営である — 必要な3つの力

規模を持っていても、経営力がなければジリ貧になります。特に必要なのは次の3点です。

1) 税制を理解しATCFを最大化する力

法人か個人か、減価償却の戦略、経費計上のタイミングなど。税制を味方につけられなければ、見かけ上の利益が現金として残りません。

2) 建物保全の実務力

適切な修繕計画、設備更新、入居満足度維持が長期稼働の鍵です。保全が弱いと資産価値は短期間で毀損します。

3) 満室を作るマーケティング力

募集戦略・家賃設定・不動産会社との連携。満室は“運”ではなく仕組みで作ります。

◆ 公務員が失敗しやすい理由(特に注意)

よくあるケース:年収700万円の公務員が新築アパートを一棟買う。ここで規模拡大に失敗すると、その後の展開が極めて厳しくなります。主な理由は以下。

◆ 実践ステップ(現実的な道筋)

  1. 座学で基礎を固める(税制・法務・資金繰り)
  2. 少額または小規模で実戦経験を積む(市場の肌感を得る)
  3. ATCFを意識した物件の選定・法人設計を行う
  4. 保全計画と満室戦略を標準化する
  5. 規模拡大は段階的に、常に資金と税務の見直しを入れる

◆ マインドセット — 自分で考える投資家になれ

最も失敗する人は「誰かに依存する人」です。業者やコンサルの言うことを盲信してはいけません。投資は自己責任。学び続ける姿勢と、冷静な判断力が不可欠です。

◆ まとめと次のアクション

不動産投資で生活することは可能です。しかしそれは“ロマン”ではなく、事業としての不動産経営 を構築できた場合に限ります。6〜10億円という数字は目安であり、重要なのはATCFを残す設計と長期的な保全体制です。

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